2019
光のまわる家/residence in Kamiikedai
大田区の築30年程の賃貸木造アパート一室の改修。求められたのは借主の入れ替えにともなう設備と仕上げの更新で、予算的にも大幅なプランの変更は求められていなかった。そこで、典型的な田の字プランの境界ラインに着目し、これらを調整することでより良い住環境の実現を目指すことにした。
まず、南に面するLDKと個室の境界ラインを40cmだけ個室側にずらし、室のボリュームを調整するとともに、4枚引き戸に変更することで、一体的な利用ができるようにした。壁位置がずれることで露出した柱には、リビングでのふるまいのきっかけとなるように棚を設けた。
さらに部屋を分割する壁の上部には欄間を設け、玄関まわりにも暗がりができないようにしている。欄間には寒冷紗をサンドイッチしたアクリル板を採用し、自然光を柔らかく拡散するようにした。完全な透明ではなく、半透明のフィルターとすることで、プライヴァシーを守る心理的な効果も期待した。
こうして、プラン上はささやかな変更であるが、各室には利用の目的に即した部屋のボリュームが与えられ、床面積以上の広がりと明るさを兼ね備えた住戸になった。
location: Kamiikedai, Ota-ku, Tokyo
program: renovation, residence
total area: 49.68 m2
date of completion: August 2019
architect: studio niko (Kenya Sato, Naohiro Sasamoto)
contractor: masion de Nukku
photo: studio niko (Kenya Sato)